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コロナ禍で直面した「食材買い過ぎ」問題

=「食品ロス」を減らし、地球環境負荷の軽減を=

2020年09月07日

新型ウイルス

研究員
亀田 裕子

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、緊急事態宣言が解除されたのは2020年5月末のこと。小学校に通う筆者の子供たちも6月から学校が再開し、新しい生活様式とともに徐々に日常を取り戻していくだろう...。と感じていたのも束の間、始まってしまった。「夏休み」である。在宅勤務などお構いなしに発せられる、「ママ、お腹空いた!」―。休校中、毎日のように聞かされた悪魔のフレーズだ。

 わが家において外食は自粛対象、だから三度の食事の準備に追われる毎日だ。そして最近、反省すべき問題が持ち上がった。食材の買い過ぎである。家族4人分でよいはずなのに、肉や魚は「少ないよりは...」と考えてつい多めに買ってしまう。結果、食べ切る目途が立たないと、あわてて冷凍する始末だ。

 食べることが好きなわが家。「コロナ禍で食事しか楽しみがない」を口実に、普段は買わないような食材にまで、つい手を伸ばしてしまう。先日は賞味期限の迫った「生ハム食べ比べセット」が、冷蔵庫のチルドルームの底から発見された。買ったはよいが、すっかりその存在を忘れていたのだ。

 筆者の負担を気遣い、夫が調理を肩代わりしてくれることもある。ただし、レシピ通りの量の食材をすべて買ってくるため、当然余りが出る。この間は野菜室でキャベツの下敷きになっていたチンゲンサイが、1株だけ見つかった。無論すっかりしなびていた。

 冷蔵庫の中の整理をするたび、発見するのが買い過ぎた食材。そこに至るまでには多くの人が介在し、大量の資源が投入されている事実は忘れがちだ。ある日、自戒を込めて賞味期限の近い「生ハム食べ比べセット」にきちんと向き合うことにした。厚手のプラスチックのパッケージに記載された「原産国:イタリア」の文字。そこで生産~流通~消費の過程を想像してみた。

 まずは、イタリアでの豚の飼育。そこでは飼料や水、豚舎も必要になる。農水省によると、豚肉1キロの生産には7キロの飼料穀物を要するという。次に生ハムに加工するために塩漬け用の塩が必要であり、熟成工程では温度・湿度の調整に電気・ガスなどのエネルギーを使う。こうして製造された生ハムは、石油由来のプラスチック製パッケージに詰められ、燃料を使う貨物機によって冷蔵状態で日本まで空輸されるのだ。

 ついでに、チンゲンサイも考察してみた。まずは、栽培から収穫までに肥料や水、ハウス栽培にはエネルギーがそれぞれ必要だ。そしてビニール包装される。首都圏産なのでわが家までは空輸の必要はないが、近所のスーパーにトラックで運ばれる。

 このように、畜産業や農業には莫大な資源が投じられる。国連食糧農業機関(FAO)によると、農業セクター(農畜産業、林業、水産業)は、世界全体の水利用のおよそ70%、温室効果ガス排出量の20~25%をそれぞれ占める。わが家の冷蔵庫に眠っていた800円の生ハムも、200円のチンゲンサイも例外ではない。

 もし食べなかったり、腐らせたりして廃棄すれば...。新たな環境負荷が生じてしまう。FAOによると実際、世界では毎年生産される食料40億トンのうち、3分の1に当たる13億トンが廃棄されるという。廃棄にもエネルギーが必要であり、同時に温室効果ガスも排出される。世界では食料廃棄が温室効果ガス排出量の約8%を占め、気候変動の大きな要因の一つとみられる。日本でも食料廃棄量は年間612万トン(2017年)に上り、うち半分弱は家庭からのもの(農林水産省)。自給率が低く、食料の6割を輸入に頼る日本にとっては、いかにももったいない話だ。

 地球環境のことを考えれば、食品ロスの削減は今や待ったなし。このため、政府は消費者に「もったいない」という意識を植え付け、計画的な買い物を奨励するなど、啓蒙活動を進めてきた。しかし、急速にデジタル化が進む昨今、購入履歴や家庭冷蔵庫内の食品情報などのビッグデータを活用し、人工知能(AI)による分析が普及すれば、無駄な買い物を抑制し、食品ロスを削減できるのではないか。

 例えば、AIが冷蔵庫内の食材の種類・量を自動的に管理しながら、スマートフォンなどを通じて買い物をアドバイス。アレルギーや添加物に関する付加的な情報も提供してくれれば助かる。このほか、賞味・消費期限が迫る食材を使うレシピまで複数提案してくれたら、その日の気分や体調に応じて好みのメニューを選択できる。買った分を確実に消費できれば、食品ロスはなくなる。

 わたしたちが毎日口にする食品は、世界のどこかで資源を消費し、温室効果ガスを排出しながら、食卓まで届けられる。その事実を受け止め、せめて買い物の際には①冷蔵庫にある食材を事前に確認する②本当に必要かどうか自問する③確実に消費できる量だけを購入する―を心掛けたいと思う。野菜室から救出したチンゲンサイも、「あらら...もう食べられないかな?」と心配そうな子どもたちと一緒に、中華スープを作り美味しくいただいた。

写真野菜室から救出したチンゲンサイ
(写真)筆者

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