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新型ウイルスと生きる世界 産業界は貢献を

冬夏青々 第17回

2020年07月02日

新型ウイルス

常任参与
稲葉 延雄

 新型コロナウイルス感染対策として、多くの国が「人と人との距離を取る政策」(ソーシャル・ディスタンシング)を導入した。都市封鎖(ロックダウン)や外出制限などがその柱であり、日本などでは相応に成果を上げ、感染者数の増加は抑えられつつある。

 厄介な問題は、この政策が経済活動を阻害するという「副作用」を引き起こすことである。その結果、感染を抑えようとすると経済が悪化、逆に経済を好転させようとすると感染が再び増加する。つまり、トレードオフに直面してしまうのだ。しかも当分、ウイルス感染拡大の再燃や、新たなウイルスの出現によるリスクが消えそうもない。それだけに、こうしたトレードオフを解決していかない限り、世界は新型ウイルスとともに生きていけない。

 今、世界の産業界に期待されることも、この点に尽きる。すなわち、現実世界において「人と人との距離を取る」ことで接触機会を削減し、感染拡大を抑止する。その一方で、デジタル世界で人と人のつながりを維持し、経済活動の低下を何とか防げないかということだ。

 その試みは既に始まっている。例えば生産現場では、人手を省くロボット化が加速する。販売現場でも窓口業務の機械化のほか、対面販売からオンライン販売への移行や、キャッシュレス化が進行する。それぞれ生産性を落とさず、接触機会を削減できる。オフィスその他の働く現場においては、従業員の通勤時の感染リスク削減が重要だ。このため、テレワークはさらなる普及を目指さねばならない。オフィス分散などを加味し、通勤時間の短縮や混雑の緩和に真剣に取り組みたい。

 同様に、教育現場におけるオンライン化の推進も重要である。集団教育における感染リスクの削減を図りつつ、教育効果の維持を期待できるからだ。医療現場におけるオンライン診療の充実も急務。感染拡大時の医療崩壊の回避や、院内感染リスクの削減などに貢献するからだ。

 業種別にみると、サービス産業には感染リスクに対する「意識革命」が求められる。オフィス賃貸業であれ、イベント会場経営であれ、ウイルス飛散に備えた十分な換気や消毒を可能にするシステム導入などが、ソーシャル・ディスタンシングとともに、感染に対する人々の根深い警戒感を解消する。

 実は、こうした現実社会の諸問題に対し、デジタル化によりソリューションを提供することは、デジタルサービス企業たるリコーグループの日々の活動そのものである。新型ウイルスとともに生きる世界に貢献していきたい。

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稲葉 延雄

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※この記事は、2020年6月30日発行のHeadLineに掲載されました。

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