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難航中の英国・EU交渉、「5つのケース」を想定

=年末の移行期間終了が近づくが…=

2020年09月25日

内外政治経済

研究員
今井 温子

 英国は2020年1月31日、欧州連合(EU)から離脱し、EU非加盟国となった。とはいえ、Brexitが完成したわけではない。今は移行期間にあり、依然として英国にはEUのルールが適用されている。目下、英国・EUは「円滑な離脱」に必要な自由貿易協定(FTA)締結や、それに伴う各種法整備を目指しているが、両者の間の溝が埋まらない。2020年12月31日の移行期間終了が刻一刻と近づくが、英国とEUの交渉は依然難航している。

 英国・EUのFTA交渉をめぐる主な対立点としては、「公平な競争条件の確保」や「漁業権」が指摘される。前者においては、EUは英国に対し、EU加盟国と同じ条件で貿易を続けたいのであれば、政府補助金や競争法、社会・雇用規則、環境基準、気候変動、租税などの分野でEU並みの厳しい規制を維持するよう要求する。だが英国からすると、EUの規制に従うと離脱の意味が薄れるため、激しく抵抗している。規制をめぐる裁量を手に入れ、貿易競争を有利に進めたいというわけだ。

 後者においては、EUは英国海域で今まで通り漁業を続けたい。一方、英国はノルウェーなどと同じく、水域や漁獲量を毎年交渉して決定したい意向だ。EUは英国が漁業権で譲歩しない限り、FTA交渉で合意しないと警告し、5月以降の交渉には進展が見られない。

 それでは、英国・EUのFTA交渉は今後どうなるのか。現時点では、少なくとも5つのケースが想定される。
【ケース1】EU首脳会議が開催される10月15日になっても、交渉が合意に至らない。このため、12月末の移行期間終了までにFTA発効などに必要な手続きが間に合わず、英国は「合意なき離脱」を余儀なくされる。これは両者に限らず、世界経済全体にとって最悪シナリオになるだろう。
【ケース2】10月15日までに、両者が包括的FTAの締結で合意する。両者が協力関係を保ちながら移行期間を終了できるため、混乱が最も少なくて済む。
【ケース3】10月15日までの包括的FTAで合意はできないまでも、簡易的FTAの締結で合意する。それに含まれない項目については別途、個別に妥協を目指すことになる。
【ケース4】移行期間終了の12月末までに、簡易的FTAの締結で合意する。以下、【ケース3】と同じ。
【ケース5】移行期間を延長した上で交渉を続ける。ただし、両者は既に6月時点で延長しないことで合意済みであり、元々延長を望まないジョンソン英首相にとっては極力避けたいシナリオとみられる。

想定される5つのケース

図表(出所)各種報道を基に筆者

 交渉のカギを握るジョンソン氏は9月7日、前述したEU首脳会議が始まる10月15日までに合意できなければ、EUとの交渉を打ち切る考えを表明した。加えてジョンソン氏は、英領北アイルランドを英関税とEU関税の「二重地域」とした離脱協定を反故(ほご)にする法案を、英国議会で成立させようとするなど強硬姿勢をとり始めた。

 コロナ禍の拡大やそれに伴う景気の大幅な落ち込みを背景に、ジョンソン氏の支持率は2020年4月の66%から8月は39%まで急落した(英調査会社YouGov)。ジョンソン氏がEUに揺さぶりを掛け続ける背景には、人気取りの側面も指摘される。

 英国・EUの交渉が合意に至るかどうか、現地メディアも予測し難い状況のようだ。例えば、9月3日付の英紙タイムズは、当事者の英政府でさえ合意可能性を30~40%とみていると伝えた。また、ロイター通信は9月7日、英国・EUが何らかの合意をする可能性は50%程度という有力エコノミストの予測を報じた。依然、予断を許さない状況だ。

写真対EU交渉が難航する英国(ロンドン市内)
(写真)清水 康隆

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