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米中摩擦で成長減速、正念場を迎えた中国経済

=「6.0%」が危うくする2つの「目標」=

2019年11月01日

中国・アジア

主任研究員
武重 直人

 米中貿易摩擦が激化する中、中国経済が正念場を迎えている。中国国家統計局が2019年10月18日に発表した第3四半期(7~9月)の国内総生産(GDP)の実質成長率は、前年同期比で6.0%増にとどまったのだ。この「6.0%」の意味するものは決して小さくない。四半期統計でさかのぼることができる1992年以降で最低を更新しただけでなく、後述する二つの「目標」を危うくしているからだ。

中国のGDP実質成長率

図表(出所)中国国家統計局

 目標の一つは、中国政府が掲げる2019年の成長率目標(6.0~6.5%)だ。今年に入ってからの推移をみると、第1四半期が6.4%、第2四半期が6.2%、第3四半期が6.0%と、期を追うごとに減速感が強まっている。米中摩擦を背景に第4四半期も減速ピッチが速まると、通年目標の下限値の達成が危うくなる。

 もう一つは、2020年までの長期目標だ。中国政府は2020年のGDPを2010年に比べて倍増させる公約を掲げており、達成するためには2019年と2020年で平均6.2%程度の成長率が不可欠となる。ところが、国際通貨基金(IMF)は10月に公表した世界経済見通し(WEO)において、中国の成長率について2019年が6.1%、2020年が5.8%と厳しい見方を示している。

 これに対し、中国政府は「第4四半期の経済安定は保証する」(毛盛勇・国家統計局報道官)と強気の姿勢を崩さない。根拠としたのが、直近の9月のいくつかの指標が改善傾向にあるからだ。

 そのうちの一つが新車販売台数の持ち直しである。確かに2019年9月の販売台数は前年同月比5.1%減と、2ケタ減のトレンドからは脱している。だがこれも鵜呑みにできない。そもそも前年9月が同11.6%減と大幅に落ち込んでおり、販売台数が下げ止まったとまでは言い切れないからだ。

自動車販売台数

図表

(出所)中国汽車工業協会、中国国家統計局、Markit

 毛報道官がもう一つ挙げた根拠が、9月の製造業の景況感(PMI)の改善である。ただし、これにも注意が必要だ。主に中小企業を対象にした民間機関(Markit)の調査では51.4と改善したものの、大企業を対象にした国家統計局の調査では49.8と乖離があるからだ。とりわけ二つの数値が景気の良し悪しの境目となる50を挟んでいるため、どう分析してよいのかメディアや研究機関の関係者の間に戸惑いが広がっている。

製造業のPMI

図表

(出所)中国汽車工業協会、中国国家統計局、Markit

 それでは、こうした状態を中国政府が傍観しているだけなのか。答えは否であろう。特に二つ目の「目標」である、2020年までのGDP目標達成の成否は習近平政権の命運を左右しかねない。習氏が中国共産党トップの総書記に就任した2012年秋に公表された目標であり、経済運営における事実上の習政権の「成績表」となるからだ。その結果が明らかとなる2021年に中国共産党は創立100周年を迎え、翌2022年に党総書記の改選期が来る。続投を狙っているとされる習氏にとっては、何としてでも目標を達成する必要に迫られているはずだ。

 中国政府がこのところ矢継ぎ早に景気テコ入れ策を打ち出しているのは、習氏の焦燥感の表れともとれる。8月に国務院が個人消費を喚起する政策ガイドラインを提示し、地方政府に実施を促した。9月には中国人民銀行が改めて預金準備率や政策金利を引き下げて金融政策面からも景気を刺激。また、インフラ投資を促進するため、地方政府に対して地方債による調達資金を10月までにプロジェクトに投入するよう義務付けたり、2020年に予定していた地方債発行の年内前倒しを求めたり、政策総動員の姿勢を強めている。

 一党独裁を背景にしたスピード感のある財政・金融政策が今回も功を奏するのか。あるいは米中摩擦という習氏の指導力が必ずしも及ばないリスクが増大していくのか。現時点では予想が難しい。

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