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プロダクションプリンティング(PP)を丸ごと体験

=東京・平和島に「魅せる印刷工場」=

2017年04月14日

最先端技術

研究員
平林 佑太

 2017年度のスタートを控え、産業界は新製品の発売準備に追われている。売り上げを伸ばすためには、訴求力の高いカタログや販促物が欠かせない。こうした商用印刷市場では「大量一括生産」から、顧客の要望にキメ細かく応えるオンデマンド印刷(POD=Print On Demand)に移りつつある。これを実現するのが、POD機を使ったプロダクションプリンティング(PP)である。

 POD機を活用すれば、企業は、豪華なカタログやパンフレット、ノベルティグッズなどを必要な時に必要な数だけ入手できる。

 ノベルティグッズ写真.jpg 2016年11月、リコーは東京・平和島に「RICOH Customer Experience Center(CEC)TOKYO」を創設した。PPによる印刷工程を丸ごとお客様に体験していただく、「魅せる印刷工場」である。

白地図.jpg このセンターでは、お客様がPOD機を購入した後、どのような点に留意すれば効率良く使えるか、助言や提案を積極的に行っている。

 例えば、出力エリアには「ファクトライン」という配線システムが導入され、安全・安心な作業環境が整えられている。電源やLANに使うケーブルを天井からぶら下げることで、床下がすっきりする(事例1)。

 従来は、配線を床に這い回していたため、タコ足配線が恒常化。このため、作業者がつまずいたり、転倒したりといったトラブルも発生していた。また、ファクトラインではプラグの着脱・移設が自由にできるため、生産ラインを変更する時でも大掛かりな工事は必要ない。

 宝槻さん.jpg正面入口.jpg 次に、POD機で出力した印刷物を梱包・保管する、物流エリアに目を移すと、生産性の大幅な改善が実現していた。

 リコージャパン産業ソリューション事業本部の宝槻洋司(ほうつき・ようじ)さんによると、下記のように改善するだけでも、作業効率のアップが期待できるという。①保管場所を集約し、何がどこにあるのか明確にする②在庫を積む高さを、作業者の手が届く範囲にとどめる③通路や梱包スペースなどには決して在庫を置かない―。この3項目の実践により、生産性が20%も向上したという(事例2)。

 このセンターはオープンから2カ月間で、来場されたお客様が60社を超える。「リコーが自社で実践しているから、改善提案に説得力がある」「わが社の生産ラインには重機が多く、配線に苦慮していた。ファクトラインには魅力を感じる」―といった感想が寄せられている。宝槻さんは「実践で培ったノウハウや困り事を蓄積していきたい。それをまたお客様にお返しし、満足していただけるよう取り組んでいきたい」と話している。

 タペストリー&VC60000.jpg

事例1、2.jpg

 

平林 佑太

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※この記事は、2017年3月27日に発行されたHeadLineに掲載されました。執筆者の所属および肩書きは、当時のものです。

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