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「所有」から「利用」に価値観が変化

=定額制サービス「サブスクリプション」が流行る理由=

2018年12月26日

内外経済

研究員
清水 康隆

 ずらりと並んだCDケース、積み上げられた雑誌...。以前は筆者の部屋では当たり前の光景だったが、今ではCDも雑誌もなくなった。

 ところが、今まで以上にさまざまな音楽を聴き、雑誌を読んでいる。いわゆる聴き放題・読み放題の定額制サービス(サブスクリプション)を利用することで、CDや雑誌を買う必要が無くなったからだ。しかも、スマートフォンやパソコンでいつでもどこでも利用できるだけでなく、自分の好みに応じたオススメやテーマ毎にまとめられたコンテンツを簡単に選べるので、新たな「出会い」も増えた。

 加えて財布にも優しい。利用頻度を考えると、同じ分だけ購入したり、レンタルしたりすれば出費は何倍にもなっただろう。

 新聞や牛乳などに代表される定額制自体は古くからあるが、最近ではインターネットや通信を介して「○○○放題」という形で情報を入手するモデルが拡大しているのが特徴的だ。ITや通信インフラの進展が背景にあると見られる。例えば世界の動画配信市場を見ると、通常の非定額制が横ばいなのに対し、定額制は増加の一途をたどるとみられている(図表1)。

図表1:世界の動画配信の市場規模・契約数

20181226_01.jpg(出所)総務省「平成30年版 情報通信白書」

 それだけではなく、定額制の対象も拡がりをみせている。画像編集や文書・表計算などのソフトウエアから、自動車や飲食、衣服などのモノに至るまでさまざまな商品が提供されているのだ。

 かつてモノを所有するというのはステータスだった。戦後復興期は白黒テレビや洗濯機、冷蔵庫が「三種の神器」となり、高度成長期には、カラーテレビやクーラー、自動車が「新三種の神器」ともてはやされるなど、人々の所有欲をかきたてる商品が次から次へと世に出てきた。それが今では、こうした商品の大部分が各家庭に行き渡ったことで、大ヒットが生まれにくくなっている。

図表2:主要耐久消費財等の普及率(2人以上の世帯)

20181226_02a.jpg(出所)内閣府「消費動向調査 」
(注)保有台数は1世帯で複数台を保有していても、1台としてカウント。携帯電話はスマートフォンを含む。

 しかしながら、人々の欲が全く無くなったわけではないだろう。冒頭のように、筆者は音楽を聴きたいし、書籍も読みたい。ただ、昔と違い「所有」より「利用」という価値観に重きを置く人が増えてきたように感じる。コストを比較しても、商品の多様化や発売サイクルの短期化などを鑑みれば、所有するより定額制の導入コストのほうが低いケースが一般的。途中で止めることもできるという利便性も消費者にとって受け入れやすいと考えられる。

 最近ではコーヒーやアルコールといった飲料や家具・家電などの耐久消費財の定額制も登場し、さらにはホテルや家具付きの部屋を利用できるサービスも出てきており、衣・食・住を網羅している。まさに百花繚乱といった状態だが、すべてが適しているとは思えない。実際、衣服や自動車などの先行していた一部のサービスではすでに撤退の表明もあるという。

 にわかに広がるこの巨大ビジネスがどこへ向かうのか―。消費者として利用しつつ、ビジネスパーソンとしてその行き着く先に深い関心を寄せずにはいられない。

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