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分断する社会、重み増す企業の役割

冬夏青々 第9回

2018年09月10日

内外経済

常任参与
稲葉 延雄

 世界中で社会の分断が生じている。経済の繁栄から取り残された人々を中心に、保護主義や移民排斥などの政治的要求の動きが強まっており、これが社会の一体感を切り崩している。宗教的対立も加わって、ひどく険悪化している地域もある。

 米国では貧しい白人層をバックにトランプ政権が誕生し、保護主義的政策を次々に打ち出している。結果的に国を貧しくする施策であるのに、既成のリーダーたちは対抗手段を打ち出しえないでいる。英国ではいったんは脱EU(欧州連合)の機運が高まったが、国としての統一した主張がいまだに形成されてない。そのEU各国も、反EU・反難民を標榜する一部勢力が推す政党の存在感が急速に増大している。

 日本社会も無縁ではない。若い人たちの間では、所得制約や育児の困難から第二子、第三子の出産をあきらめる人たちがいる。介護の面では老々介護に疲れているお年寄りも多く、介護のために離職を余儀なくされた人々がいる。いずれも、無念なことに自分の人生を自分では決められなくなった人々であって、そうでない人々との間のギャップが拡大している。日本でも目には見えないが、社会の分断は存在する。

 このような社会の分断の原因として、グローバリゼーションや技術革新の進展から、経済発展の中で一部の集団に富が集中し、多くの人の賃金が伸び悩んでいることを挙げる論評が増えている。日本でも、低スキル労働の需給はタイトになっているが賃金は低く、高賃金の高スキル労働は労働の供給が追い付かない。というミスマッチが、そうした動きを助長している。

 こうした事態の解消には、個人レベルでの技能向上の努力がまず必要である。理系の開発技術者は自らの陳腐化した知識を新しい知識に入れ替えねばならないし、文系のセールススタッフは新しいデジタル製品・サービスの商品性の研究が怠れない。企業の側でも、働き方改革や人的投資の拡充で個人レベルの努力を力強くサポートすることが必要である。そうすれば、より高いスキルを有する労働者の充実を通じて、生産性を上げ、より高い賃金で従業員に報いることができる。

 社会の分断は遠い国々の現象のように思われるが、われわれ自身の問題であり、社会の中に生きる企業自身も解決の方策を見つけていくべき問題である。

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※この記事は、2018年6月29日発行のHeadLineに掲載されました。

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