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医療改革に向けて...産業界は技術革新で貢献を

冬夏青々 第6回

2017年10月23日

内外経済

常任参与
稲葉 延雄

 私がいつも診察をお願いしている先生は、その結果や治療の方針だけでなく、最新の医学の進展状況も詳しく解説してくださる。生活習慣の管理がいささか不徹底で検査数値が改善していないと、いつもにも増して丁寧にその改善の重要性をお話になるため、これにはかえってこちらが恐縮してしまう。
 
 診察が終わると、今度は先生が日本経済の見通しやアベノミクスの意味合いなどを矢継ぎ早に質問される。かつて私が経済分析を仕事にしていたことを御存知だからである。私が先生と呼ばれる番になり、二人で互いに先生と呼び合う奇妙な会話が始まるから、横にいる看護師さんたちは思わず吹き出してしまう。 
 
 医学の世界では物事の「真」と「偽」が比較的明快なようで、先生の説明も論理的である。一方、私も真剣にお答えするのだが、すっきりした解説にならないことが多く、先生が十分には納得されてない様子の時もある。そういうケースでは、次の診察の折に質問の内容を変えてこられるので、前回は納得されてなかったことが分かる。

 先生は医師であり、同時に病院経営者でもある。その最大関心事は医療費の高騰だ。「将来、それが財政を破綻させ、保健医療が立ちいかなくなる」と危惧するからである。これに対して私は、「医療財政の破綻回避のためには相応の増税も必要だろうが、もっと大事なことは医療サービスのコストを技術革新の力で思い切って引き下げることだ」と説明する。

 そう申し上げても、先生は「高齢者介護であれ難病治療であれ、そのコストが高くつくのは当然ではないか」と、多くの人と同じく半信半疑で聞き直される。しかし、これまでの産業社会の歴史には、さまざまな技術革新や企業努力を通じ、より高性能の財や高品質のサービスをできるだけ安価に提供してきた輝かしい実績がある。パソコンや液晶テレビと同じように、高齢者介護や難病治療のコストも、技術革新の力で年々引き下げることができないはずない。

 今は産業界の一員である私としても、企業部門が技術革新によって医療サービスのコスト引き下げを目指し、その阻害要因を除去しながら着実に成果を上げ、日本の医療サービスの維持・向上に貢献すべきだと強く思う。そうなれば、先生の国民医療に関する将来不安が解消され、これまで診察していただいた御恩にも報いることができるはずである。

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※この記事は、2017年9月29日発行のHeadLineに掲載されました。

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