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ワインを脅かす地球温暖化

2017年06月02日

地球環境

研究員
加藤 正良

 21世紀末には東京の気温は現在の屋久島(鹿児島県)並みに・・・。気象庁が今年3月末に公表した「地球温暖予測情報」は衝撃的な内容だった。

 予測情報は、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2013年に示した温室効果ガス排出シナリオのうち、最も排出が多いシナリオを日本に当てはめて詳しくシミュレーションしている。世界の年平均気温が3.7度上昇するのに対して、東日本の太平洋側では平均気温が4.3度も上昇する。すると現在15.4度の東京の平均気温が屋久島と同程度になるそうだ。

 そういえば、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが2016年9月に「オーストラリアのワイン醸造大手の一部が、大学や研究機関とともに地球温暖化の影響を軽減する方法を模索しはじめた」と報じていた。同国で醸造やブドウの栽培などのワイン産業に携わる約2万4000人の雇用や、年間21億豪ドル(約1600億円)相当のワイン輸出が危険にさらされているというのだ。

 記事によれば、オーストラリア南部アデレードのブドウ園では、赤ワイン用の代表的な品種「カベルネ・ソーヴィニヨン」の成熟時期が、1993年には3月25日だったのに、2015年は2月4日に早まったとの報告がなされていた。

 また、米通信社ブルームバーグの2015年のある記事では、現在のワインの原材料となるブドウの生産に適している地域のうち、最悪の温暖化シナリオでは25%から73%の地域が2050年までに生産不能になるという研究報告が示されていた。実際、フランスの代表的なワイン生産地であるボルドー地区の気温は1980年代以降約1度上昇しており、このままでいけば代表品種であるメルローは現在の産地の外で栽培される可能性があるという。ボルドー地区の温暖化は、IPCCが想定する4つの温暖化シナリオすべてで2050年にかけて続くと見込まれている。ヨーロッパの「ワインの主要産地が北欧に!」という日が来るかもしれない。

 日本は現在、第7次ワインブームと言われるほどワイン人気が高まっている。国内で生産されるワインの質も向上し、世界的なワインコンクールで高評価を得るワイナリーも出てきている。ワイン好きの私は「死ぬまでには、ボルドー5大シャトーの高級ワインを味わうぞ!」との小さな野望を持っている。

 地球温暖化は、国内のワイン生産地には影響はないのだろうか。気になったので、日本を代表するワインの里である勝沼町(山梨県甲州市)の気象データを調べてみた。下の図表は、気象庁発表による1978~2016年までの約40年間の気温の推移である。年平均気温は、1980年で13度程度だったものが2016年には14度を超え、40年弱で1度程度上昇している。2000年以降は平均気温の上昇は鈍化しているようにも見えるが、最高気温の上昇と寒暖差の拡大は確実に進んでおり、温暖化の影響から免れることはできない。

勝沼町の気温の推移

20170531_01.jpg(出所)気象庁からのデータを基に再編集

 米国のトランプ大統領は、今年3月に地球温暖化対策を見直し、石炭などの生産を促す大統領令に署名。5月下旬にイタリア南部シチリア島で開催された先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)でも、温暖化対策で米国企業が不利になり雇用が失われことに対する懸念を示し、温暖化防止の国際的な枠組みであるパリ協定からの離脱の意向をにおわせた。

 しかし、地球温暖化はもうすでに待ったなしの状況になっている。ワインという恵みを与えてくれる地球を愛する者として、各国の指導者には一言モノ申したい。地球の温暖化を抑制しようと努力している人々に対し、問答無用のちゃぶ台返しをすることだけはご勘弁願いたい。

20170531_02.jpg(写真)筆者(オーストラリア・ウルルにて)

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