技術者が語る 3Dプリンターのいろは

造形方式による曲面の再現性の違い

本記事の内容が当てはまる造形方式

  • FDM
  • MJ
  • SLS
曲面形状における積層段差

3Dプリンターは一層一層積み重ねていく造形方式のため、積層段差が必ず発生します。特に曲面形状の面上は積層段差が目立ちます。3Dプリンターの利用を検討されているお客様とのご相談中でも、曲面形状の再現性はよく話題に挙がります。下図はFDM方式(積層ピッチ0.254mm)で造型した直径10mmの球体形状です。遠目で見ると分りにくいかもしれませんが、積層方向に稜線の変化が大きくなる曲面では、近くで見ると積層段差がわかってしまうのが実際のところです。

図1:FDM方式

図1:FDM方式

綺麗な曲面を再現するには

それでは綺麗な曲面の再現を重視する場合にはどのような方式にすれば良いのでしょうか。基本的には積層ピッチが小さくなる方式を選んでください。下図を見ていただければわかるように、積層ピッチが小さいほど段差が小さくなりますので、より滑らかな造形が可能になるとうワケです。(実際には積層ピッチ以外にも、強度や造形方向などを考慮して造形方式を選ぶことが必要です。)

図2:積層ピッチ

図2:積層ピッチ

積層ピッチの小さい曲面形状の例

下の写真は粉末焼結積層造形方式(積層ピッチ0.1mm)とマテリアルジェッティング方式(積層ピッチ0.03mm)の直径10mmの球体形状です。FDM方式で造形したもの(図1)と比較していかがでしょうか。積層ピッチが小さくなることで曲面が綺麗になっていくのがわかると思います。このように積層ピッチの小さいSLS方式やMJ方式を選ぶことで、曲面形状の綺麗な再現が得られます。

  • 図3:SLS方式

    図3:SLS方式

  • 図4:MJ方式

    図4:MJ方式

(小林 峻)

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