技術者が語る 3Dプリンターのいろは

ULTEM™(ウルテム™)とは

本記事の内容が当てはまる造形方式

  • FDM
ULTEM™(ウルテム™)の概要

ULTEM™(ウルテム™)は、米国のゼネラル・エレクトリック(GE)社が開発した琥珀色の非晶性スーパーエンプラであるポリエーテルイミド(PEI)の製品名です。優れた耐熱性、機械的特性、難燃性、耐薬品性、電気的特性などを併せ持ち、電気・電子部品、自動車部品、機械部品、航空機部品、加熱調理用品などに用いられています。2007年9月、サウジ基礎産業公社(SABIC)がGE社より全プラスチックス事業を買収したことにより、以後はSABIC社がULTEM™を生産しています。

ポリエーテルイミド(PEI)の特徴

図1:芳香族環

図1:芳香族環

ポリエーテルイミド(PEI)はイミド結合とエーテル結合の繰り返し単位で構成されており、上図の化学式で表されます。イミド結合により直接結合された芳香族環は共役構造を取るため、剛直で強固な構造を持ちます。また、芳香族環が同一平面に配列して分子鎖が互いに密に充填(パッキング)され、極性の高いイミド結合が強い分子間力を有することにより、分子鎖間の結合力も強固です。これにより耐熱性と強度が高まっています。一方でエーテル結合を有するため比較的溶融時の流動性は優れており、成形加工が可能となっています。さらに直鎖中の芳香族環の濃度が高い耐熱性の樹脂であるため酸素指数が高く燃焼が持続し難い性質も有しています。(酸素指数:プラスチックに火をつけた状態で、その燃焼が持続するのに必要な最低酸素濃度をパーセンテージで示した指標。酸素指数が21より大きいプラスチックは空気(酸素濃度21%)中で燃えにくく,小さいものは燃えやすいことを示しています。)

PEIについては以下の特徴が挙げられます。
①耐熱性に優れ高温下でも劣化しません。優れた耐加水分解性を示し熱水にも強いです。
②機械的強度が大きいです。
③溶融時の流動特性が良く、成形加工が可能です。
④酸素指数が47以上と高く、樹脂自体が難燃性(UL94,V-0)で、低発煙性です。
⑤非晶性プラスチックの中では耐薬品性は最も優れています。ガソリン、アルコール、弱酸、弱アルカリには侵されません。ただし、ハロゲン系炭化水素(メチレンクロライドやトリクロロエタンなど)には侵されるものがあります。

3Dプリンターの材料としてのULTEM™

図2:3Dプリンターの材料としてのULTEM™

図2:3Dプリンターの材料としてのULTEM™

ULTEM™は3Dプリンターの世界ではFDM(Fused Deposition Modeling)と呼ばれる製法で使用される材料として有名です。ULTEM™は、強度、耐熱性、難燃性に優れている特徴があることから、自動車、航空機部品、医療用補助器具、食品機械などの用途に使用されています。

(佐藤 達哉)

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