技術者が語る 3Dプリンターのいろは

ポリプロピレン(PP)とは

本記事の内容が当てはまる造形方式

  • SLS
ポリプロピレン(PP)の分類と特徴 ホモポリマー
図1 ホモポリマー

図1 ホモポリマー

PPにはホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーの各タイプがあります。
ホモポリマーはプロピレンのみを重合したもので、分子構造(立体規則性)にはメチル基(-CH3)の立体規則配列によってさらに次の3つのタイプがあります。
・アイソタクチック(iPP):メチル基が一方向に規則的に配列した構造です。
・シンジオタクチック(sPP):メチル基が交互に配列した構造です。
・アタクチック(aPP):メチル基がランダムに配列した構造です。
これらの中でiPPは融点が高く、高結晶性であり、強度、弾性率、耐薬品性などが優れているので一般的なPPとして広く使用されています。他に、軽い(比重は約0.9であり、プラスチックの中では最も低い部類に属する)、汎用樹脂中では耐熱温度が高い(融点:160~165℃)、折り曲げ疲労に強いという特徴もあります。注意点としては、耐紫外線性、印刷性、接着性などが良くないことが挙げられます。なお、sPPやaPPについては樹脂改質剤として使用される例が多いです。

ポリプロピレン(PP)の分類と特徴 コポリマー
  • 図2 ランダムコポリマー

    図2 ランダムコポリマー

  • 図3 ブロックコポリマー

    図3 ブロックコポリマー

ランダムコポリマーはプロピレンと少量の主にエチレンをランダムに共重合したタイプで、ホモポリマーに対して透明性、衝撃強度を改良しています。融点はホモポリマーよりも20~30℃低いです。また、ブロックコポリマーはプロピレンセグメントとエチレンセグメントからなるタイプで、ホモポリマーの低温衝撃性を大幅に改良、不透明、融点はホモポリマーと同程度(160~165℃)です。
さらにホモポリマーやコポリマーをベースに各種の無機質など様々な副材料を配合することにより、耐熱性を高めたグレード、耐候性を高めたグレード、帯電防止剤を付与したグレード、難燃性を付与したグレード、光沢を高めたグレード等々、数多くのグレードが存在します。

3Dプリンターの材料としてのポリプロピレン(PP)
写真上:引張試験後の試験片、写真下:引張試験前の試験片

写真上:引張試験後の試験片、写真下:引張試験前の試験片

3Dプリンターの方式の一つであるプラスチックの粉末焼結積層造形法は、焼結しようとする材料の結晶化温度と融点の間に粉末材料を予熱し、造形する箇所だけをレーザーで溶融させた後に再結晶化させ固化させる方式です。PPは結晶性材料でかつ融点が200℃を下回っており、造形装置の軸受やシール部材の機能を長期間維持できる温度での予熱で造形可能です。特にコポリマーは軽量、靭性があり破断しにくい(写真上)、屈曲に強い、衝撃に強いといった特性を利用して、機能試験用途としての自動車部品や、最終製品用途としての部品の造形への対応が期待されています。

(佐藤 達哉)

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